2009年11月05日

無言の目つぶり作戦

朝、起こして着替えをさせる時も、おばあは目をつぶっている。
「目を開けてみて。ここに腕を通して!」
目をつぶったまま〜
トイレに連れて行き、便座に座らせ私と向かい合う。
目をつぶったまま〜
「おはよう。」
・・・無言・・
「眠いんですか?」
・・・・無言・・・・
「おはようって、言って! おはよう。」
うなづくだけのおばあ。
用が済むと、トイレの前でズボンを穿かせる。
「ズボンを穿くよ。ここに足を入れて、ホラ、見て。」
目をつぶったまま〜
入れるほうの足を持ち上げると、反応する。
(反抗する時もあるけど・・)
洗面所で洗顔。
自分でする時もあるし、洗面台の前に突っ立ったままの時もある。
「顔、洗って。ホラ見て、自分でやって!」
私の号令だけが空しく響く。
食卓に座らせる。
「歯だよ。歯を入れて。目を開けて、自分で入れて。
入れないと食べられないよ。アーン」
目をつぶったまま、薄く口を開けたところに入れ歯を押し込む。
「入った? 今度は下の歯だよ。見て。持って自分でっやって。
ホラ、見ないと・・」
いい加減、目をつぶったままのおばあにイライラしてきた私は
「開けて!」上下のまぶたを指で押し広げようとする。
一層固く目を閉じるおばあ・・
入れ歯が上だけしか入らないと、次の食事の段階に進めない。
目も口も開かないおばあ。
パンを口元に持ってきて唇に軽く当て
「ホラ、パン食べたいよね。」
・・・と、おばあは口を薄く開けた。
その瞬間に、パンを入れ歯に持ち替えて、押し込んだ。
上手くいった。
「ちゃんと、入ったかな?」
返事なし。無言。
手にパンを持たせるとモグモグ食べ始めた。

こんな調子では、今日もデイサービスで半日は寝て過ごす気か?

全く、一体、どういうこと。
目をつぶることで、何か主張をしているのか?
時に、薄目を開けて見ているのだろうが何故目を閉じ続けるのか?
何故、言葉を発しないのか?
めちゃくちゃでもいいから、声を出してくれればいいのに・・・
全く意思表示の無い「無言」は辛いよ。






ラベル:認知症
posted by ふみ at 19:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お疲れさまです〜

3年前に95歳で亡くなった姑は、主人の姉が最期まで自宅で看取りました。
比較的頭もクリアで緩やかに老いていきましたが、90歳も過ぎてベッドから動けなくなった頃から、口にしていた言葉を思い出します。

「もう、いいぜ〜もう十分や・・・」

私たちはこの先どこまで生を紡いでいけるのか・・・。

おばさまの気持ちは誰にも分かりませんが、なんとなく、義理母の宇和島弁のその言葉を思い出しました。

失礼な内容だったら、ごめんなさい。

Posted by 混沌子 at 2009年11月06日 14:22
混沌子さんへ

コメントありがとう。
そう・・
人間、壊れてしまって、それでも「天寿」
があって「生」は続く。
クリアーだと「もう、いいぜ〜もう十分や・・」って
言葉も出るでしょうね。
そういう「考えること」も無くした人は
どうなのかしら?
ただ時間が過ぎていく。。。先も見えずに
Posted by ふみ at 2009年11月07日 18:35
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