おばあが静かになって寝たようなので、入浴をした私。
ふと、気がつくと脱衣所に人の気配。
まさか・・・と、ドアを開けると私の着替えをまとめて、
抱えこんでいるおばあ。
「何しているの!」
座って作業をしていたおばあは、そのままの姿勢で両手をつき
「申し訳ありませ〜ん」と頭を下げる。
・・・・おばあの処世術を見た気がする・・・
ともかく、観念した私はその場でおばあの服を脱がせ、お風呂に
入れることにした。明日の予定でいたのに。。
今まで、おばあを入浴させる時は自分は服を着ていて、ズボンの
裾をたくし上げ、体を洗っていたのだが、初めて自分も裸。
体を洗い、シャンプーをし、湯船に。
ここでも落ち着きの無いおばあは湯船の中で顔を洗い、手で体を
こすり、また顔を洗い、手で首筋をさすり、顔を洗い、
足をもみ〜絶えず動いている。
お風呂って、湯に体を沈め身も心も解き放つ所ぞ。
静かにせい。
両手を握って阻止した。
傍から見れば仲良く手をつないで入浴といった姿。
体も温まったので出ることにしたのだが、体も自分でふけない、
着替えも出来ないおばあ。
手早く自分の支度をしてから、おばあの着替えと考えられなくも
無かったが、損なわれた至福の時間を取り戻したかったので
自分はそのままで、おばあの着替え、タオルを巻いて、
おばあを部屋に連れて行き寝かせた。
そして自分は湯船に戻り一息ついた。
改めて自分の身支度が済んでおばあの部屋をのぞくと起きてる。
座って引き出しの中身をガサゴソやっている。
湯冷めをしてしまうではないか・・
優しく言って聞かせ布団の中に入れた。
もう、後を見ず逃げるように寝床に直行した私。