2010年05月02日

残る記憶。消える記憶

朝日新聞の生活欄の記事。
61才の娘さんが88歳の認知症のお母様を介護をしておられ
綴っている。

88歳の母は、20年前に亡くなった父の安否を良く尋ねる。
「随分前に死んでる」と、答えると葬式や法事はきちんとした
か、問うて来る。滞りなく済んでいると伝えると
「ま、亡くなった人をあれこれ思っても仕方ない。お母さんが
その分長生きして人生を楽しめばよい」と父が可哀想なくらい
さっぱりした言葉が返ってくる。
ところが先日22年前に36才で亡くなった弟のことを急に
聞いてきた。私がつい正直に答えると
「修二が死んだはずが無い」と烈火のごとく怒り出した。
慌てて言い直したが怒りはすぐに収まらなかった。
弟が突然亡くなった日、母は取り乱すことも無く通夜と葬式を
淡々とこなし、憔悴しきった父を気遣う余裕すら見せていた。
老後も3人の孫の成長を見守り、趣味や旅行を楽しんでいた。
だから母の怒りに戸惑った。今まで、我が子を失くした
悲しみをひとり胸の奥にしまいこんでいたことに気づいた。
今日も病院に行く途中、弟のことを尋ねるので、
「元気、元気。仕事が忙しいみたいよ」と答えると
「顔を見せないで親不孝者めが」と言いながら笑っている。
認知症から優しいプレゼントをもらい、これから先も、母の中で
弟は生きていく。 (福岡県の女性)

この記事を読んで、ほほえましくも切ない気持ちになった。
おばあは、たまに夕方になると
「おやじさんが帰って来ない。」とおじいちゃんのことを
気遣った。
最初のうちは、「何言っているのよ。」とか返事していたが
はっきり言わないようにした。
おばあの兄弟のことも、マトモに亡くなった事を話していたが
それもやめた。
あの世もこの世も全部一緒でいい。
私のことを姉に間違えていても、夫のことを兄に間違えていても
否定はしなかった。
おばあは、その方が幸せだったと思う。
その時は、一緒に兄や姉といた気分だったのだから・・
認知症って、いいこともある。








posted by ふみ at 23:51| Comment(2) | TrackBack(0) | メディア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ふみさん こんにちは

ばあちゃんも自分の旦那さんが、亡くなったことは覚えてるようですが原因は覚えてないようです。40代で事故で亡くなったのですが・・・

あと息子3人なんですが、他に女の子を生まれてすぐと4歳で亡くしてしるんですが・・・そのことを忘れているみたいなんです。
私もきっと思い出したくない悲しいことだから忘れたのかなって思ってました!
Posted by うちゃこ at 2010年05月06日 15:26
うちゃこさんへ

コメントありがとう。
うちゃこさんのところの、ばあちゃんにも
辛い経験がたくさんおありなんですね。
認知症になると、何が残って、何が消える
のかしら? 
本人の気持ちも左右するのでしょうか?
いずれにしても、悲しいことは忘れた方がいいですね。

Posted by ふみ at 2010年05月06日 21:52
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。